著者のコラム一覧
永田宏長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

乳がん<10>ステージⅣの生存率大幅アップを可能にした薬物療法

公開日: 更新日:

「ステージⅣ=末期がん」というのは間違いです。とくに乳がんでは、ステージⅣでも年単位で生きられるひとが大勢います。国立がん研究センターが昨年公開したデータによれば、ステージⅣの乳がん患者の5年生存率は37・2%。他のがんと比べて、格段に良い数字です(肺がん5・1%、胃がん9・0%、大腸がん18・7%)。理由は乳がんには薬物療法がよく効くからです。

 ステージⅣ(手術できない再発がんを含む)の治療は、基本的には術後薬物療法の延長です。女性ホルモン受容体が陽性なら、ホルモン療法を中心に、抗がん剤を組み合わせていきます。ホルモン療法剤は深刻な副作用が少ないことから、ガイドラインには「一次治療は基本的に内分泌療法(ホルモン療法)を行う」と書かれています。

 しかししばらく使い続けていると、がんが耐性を持ち始めるため、効き目が弱ってきます。そこで薬を替えて対抗します。2019年時点で乳がんに使えるホルモン剤は8種類、抗がん剤は約20種類。どれを、どの順番で使っていくかは、ガイドラインに詳細に書かれていますが、最終的にはがんの特徴や患者の状態、副作用が強く出やすいかなどで、変わってきます。そこが医者の腕の見せどころです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人がもしFA3連敗ならクビが飛ぶのは誰? 赤っ恥かかされた山口オーナーと阿部監督の怒りの矛先

  2. 2

    大山悠輔が“巨人を蹴った”本当の理由…東京で新居探し説、阪神に抱くトラウマ、条件格差があっても残留のまさか

  3. 3

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  4. 4

    大山悠輔に続き石川柊太にも逃げられ…巨人がFA市場で嫌われる「まさかの理由」をFA当事者が明かす

  5. 5

    織田裕二がフジテレビと決別の衝撃…「踊る大捜査線」続編に出演せず、柳葉敏郎が単独主演

  1. 6

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 7

    ヤクルト村上宗隆と巨人岡本和真 メジャーはどちらを高く評価する? 識者、米スカウトが占う「リアルな数字」

  3. 8

    どうなる?「トリガー条項」…ガソリン補助金で6兆円も投じながら5000億円の税収減に難色の意味不明

  4. 9

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  5. 10

    タイでマッサージ施術後の死亡者が相次ぐ…日本の整体やカイロプラクティック、リラクゼーションは大丈夫か?