著者のコラム一覧
神崎浩孝医学博士、薬剤師

1980年、岡山県生まれ。岡山県立岡山一宮高校、岡山大学薬学部、岡山大学大学院医歯薬学総合研究科卒。米ロサンゼルスの「Cedars-Sinai Medical Center」勤務を経て、2013年に岡山大学病院薬剤部に着任。患者の気持ちに寄り添う医療、根拠に基づく医療の推進に臨床と研究の両面からアプローチしている。

「知識」があれば「不安」や「恐怖」は抑えられる

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 この数カ月、新型コロナウイルスが世間を騒がせています。患者さんからも「いつになったら収まると思いますか?」「今後の動向や見通しについて、どのように予想していますか?」といった相談をよく受けます。もちろん私が予想することは難しいのですが、その質問の背後には、「未知のもの」「見通しが立たないもの」に対する不安や恐怖といった心理があるように思います。

 さらに、病気とその対応策への不安だけではなく、雇用や収入が不安定になることに対する社会的な不安が、並列して同時に扱われることによって、相乗効果で不安が増しているように感じます。

 逆に言えば、知識を身に付け「未知」を減らすことができれば、不安は減るのではないかとも考えられます。その一助になればという思いから、ウイルスやウイルスに対する薬=「抗ウイルス薬」を中心に、微生物に対する感染症とその薬について紹介していきます。

 病原体=病気を起こす微生物が体に侵入して症状が表れる病気を「感染症」といいます。感染症は、さまざまな切り口で分類でき、それに応じて対応が変わります。たとえば、病原体によって薬は違いますし、感染経路によって予防法も変わってきます。専門的な知識や対処法、その研究は専門家や医療者に任せるとしても、一般のみなさんが「知識」を身に付けることで、日常生活レベルで予防できることもありますし、何より不安が解消されるのではないでしょうか。もしも「感染者に接触したら必ず感染する」のであれば、医療機関の職員はどんどん感染していくことになります。しかし、医療者はそれなりの知識をベースに予防しているから仕事ができているのです。

 感染症に対する不安が少しでも減るように、次回から抗ウイルス薬について詳しくお話ししていきます。

【連載】今こそ知っておきたい抗ウイルス薬

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