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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

浅香光代は痛みなく永眠 がん闘病「治す」と「癒す」の配分

公開日: 更新日:

 ご遺族のコメントから、つらい痛みに苦しむことがなかったのは何よりです。

 がんの強い痛みには、モルヒネに代表される医療用麻薬が欠かせませんが、日本はその使用量がダントツに少ない。ドイツの20分の1で、米国の14分の1です。痛みに耐える国民性がデータに表れています。

 膵臓がんは、体の奥にあって見つけにくい。進行してから診断されるケースが多いゆえんで、だからこそ浅香さんのような痛みを取ることが大切です。

 実は痛みを取る緩和ケアと抗がん剤治療を行うグループと、緩和ケアなしで抗がん剤治療を行うグループに分けて追跡すると、緩和ケアをする方が生存期間が長いことが明らかになっています。緩和ケアで生活の質が良くなると、延命効果があるのです。

 膵臓がんを巡っては、治療法が改善し、手術可能な人でも、術前に抗がん剤治療を加えることで平均生存期間が1年近く延長することが報告されています。その結果を踏まえて、今後はガイドラインも改定される見込みです。

 膵臓がんは、早期で発見できたら、しっかり治す。末期なら、緩和ケアで癒やす。がん治療は、どのがんでも「治す」と「癒やす」のバランスを取ることが大事です。

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