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永田宏前長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

サービス開始から1年が経過「5G」で医療はどう変わるか

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 もっとも、遠隔医療の本命は、内視鏡やカテーテルの検査・治療の遠隔支援だろう。千葉県松戸市の千葉西病院で稼働している「カテーテルスタジオ」の遠隔版をイメージすれば分かりやすい。

 マスコミなどで何度も紹介されているので、カテーテルスタジオをご存じの方も多いだろう。

 同センター内の6つの血管造影室から、検査や治療の映像がリアルタイムでスタジオの大型モニターに送られてくる。それをベテラン医師が見て、重要な局面に差しかかると、モニター越しに現場の医師たちに適切な指示を与える。これによって同病院は、全国でもトップクラスのカテーテル件数と成功率を上げている。

 5G時代には、同様のことを異なる病院間で行うことができるようになる。現在の高速光回線でもできないことはないが、通信の遅延が5Gと比べて大きいうえに、ケーブルや通信機器の購入と敷設に費用がかかるなど、技術的・金銭的な障壁が多い。しかし5Gの技術を使えば、それらの課題を一気に乗り越えることができる。

 ただし、制度的な課題をクリアするのに時間がかかるかもしれない。現行の制度では異なる病院間でのこうした遠隔支援に対して、健康保険からは報酬が支払われない。この問題が解決し、適切な報酬が支払われるようになれば、一気に普及するだろう。全国のカテーテル医療や内視鏡医療の質が上がると同時に、地域格差の解消にも役立つはずである。

【連載】コロナ禍でも注目 最新医療テクノロジー

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