著者のコラム一覧
荒川隆之薬剤師

長久堂野村病院診療支援部薬剤科科長、薬剤師。1975年、奈良県生まれ。福山大学大学院卒。広島県薬剤師会常務理事、広島県病院薬剤師会理事、日本病院薬剤師会中小病院委員会副委員長などを兼務。日本病院薬剤師会感染制御認定薬剤師、日本化学療法学会抗菌化学療法認定薬剤師といった感染症対策に関する専門資格を取得。

【百日咳】マクロライド系抗菌薬は酸性飲料で強い苦味が出る

公開日: 更新日:

「百日咳」は百日咳菌による感染症で、咳が治まるまで約100日間(3カ月程度)続く、ということから名付けられました。もともと小児に多い疾患で、ワクチン接種の普及によってその数は減ってきていたのですが、近年、乳幼児期に接種した予防接種の効果が弱まった成人の発症が問題になっています。

 百日咳は7~10日程度の潜伏期間を経て発症します。風邪症状がみられ、徐々に咳が強くなっていきます。この時期は「カタル期(約2~3週間)」と呼ばれ、もっとも感染力が強いとされています。

 その後、連続的な短い咳と息を吸うときにヒューと音のする発作が起こります。この時期を「痙咳期(約2~3週間)」といいます。激しい咳のために嘔吐を伴い無呼吸発作を引き起こすこともあり、注意が必要です。

 そこから徐々に回復していきますが、中には数カ月にわたって症状が長引くケースもあります。治療には「エリスロマイシン」や「クラリスロマイシン」といったマクロライド系抗菌薬を一定期間服用します。

 小児に薬を服用させる際、ジュースや服薬補助ゼリーを使用する方もいらっしゃいますが、マクロライド系抗菌薬は酸性飲料と同時に服用すると非常に強い苦味が出る特徴があるので気を付けましょう。リンゴやオレンジといった果物フレーバーのジュースやゼリーは酸性であることが多く、子供は苦すぎて服用できない、といった問題が起こってしまうのです。

 服薬補助ゼリーのCMで、「抗生物質にはチョコレート味!」というフレーズを覚えている方もいるでしょう。チョコレート味のゼリーは中性なので苦味を生じにくいということなのです。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    高画質は必要ない? 民放各社が撤退検討と報じられた「BS4K」はなぜ失敗したのですか?

  2. 2

    「二股不倫」永野芽郁の“第3の男”か? 坂口健太郎の業界評…さらに「別の男」が出てくる可能性は

  3. 3

    気温50度の灼熱キャンプなのに「寒い」…中村武志さんは「死ぬかもしれん」と言った 

  4. 4

    U18日本代表がパナマ撃破で決勝進出!やっぱり横浜高はスゴかった

  5. 5

    坂口健太郎に永野芽郁との「過去の交際」発覚…“好感度俳優”イメージダウン避けられず

  1. 6

    大手家電量販店の創業家がトップに君臨する功罪…ビック、ノジマに続きヨドバシも下請法違反

  2. 7

    板野友美からますます遠ざかる“野球選手の良妻”イメージ…豪華自宅とセレブ妻ぶり猛烈アピール

  3. 8

    日本ハム・レイエスはどれだけ打っても「メジャー復帰絶望」のワケ

  4. 9

    広陵暴力問題の闇…名門大学の推薦取り消し相次ぎ、中井監督の母校・大商大が「落ち穂拾い」

  5. 10

    自民党総裁選の“本命”小泉進次郎氏に「不出馬説」が流れた背景