著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

平穏で温かい思いや感謝の気持ちが伝わるみとりだった

公開日: 更新日:

 これまで、ご自宅にお伺いする診療の中で一人一人の患者さんが私たちにとって大変思い出深く、いつも人生にとって大切なものは何か、家族の愛とは、といった学びを得ていると実感する日々を送っています。

 そんな思い出深い患者さんにこんな方がいました。

 その患者さんは90歳の男性で、慢性閉塞性肺疾患と誤嚥肺炎の治療のあと、退院。自宅療養となり、私たちが訪問診療を担当することになりました。

 武骨なご老人で、それもそのはず最後の陸軍士官学校卒の61期生という経歴をお持ちで、戦中戦後を生き抜いてこられた方でした。約3年にわたる訪問診療の間に、そんな当時のお話もよく聞かせていただきました。

 都内から疎開先の埼玉の朝霞で終戦を迎えると、教師を志して大学進学を目指すも「戦争に加担した軍関係者は入学できません」と門前払いとなり、家業に戻りパン屋を継ぐことになったといいます。やがて結婚、一家を構え、一粒種の娘さんも誕生し、家族を守り通してきた人生でした。

 今は結婚し、同居する娘さん。「子供のころはよく父親に勉強を見てもらっていたおかげで難関国立大学の旧帝大にも進学できた。お父さんに感謝している」と話してくれました。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    米倉涼子“自宅ガサ入れ”報道の波紋と今後…直後にヨーロッパに渡航、帰国後はイベントを次々キャンセル

  2. 2

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 3

    彬子さま三笠宮家“新当主”で…麻生太郎氏が気を揉む実妹・信子さま「母娘の断絶」と「女性宮家問題」

  4. 4

    アッと驚く自公「連立解消」…突っぱねた高市自民も離脱する斉藤公明も勝算なしの結末

  5. 5

    ヤクルト池山新監督の「意外な評判」 二軍を率いて最下位、その手腕を不安視する声が少なくないが…

  1. 6

    新型コロナワクチン接種後の健康被害の真実を探るドキュメンタリー映画「ヒポクラテスの盲点」を製作した大西隼監督に聞いた

  2. 7

    違法薬物で逮捕された元NHKアナ塚本堅一さんは、依存症予防教育アドバイザーとして再出発していた

  3. 8

    大麻所持の清水尋也、保釈後も広がる波紋…水面下で進む"芋づる式逮捕"に芸能界は戦々恐々

  4. 9

    “行間”を深読みできない人が急増中…「無言の帰宅」の意味、なぜ分からないのか

  5. 10

    万博協会も大阪府も元請けも「詐欺師」…パビリオン工事費未払い被害者が実名告発