著者のコラム一覧
中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

石原慎太郎さんはすい臓がん再発で…根治にはとにかく手術を

公開日: 更新日:

 石原さんは当時、87歳。年齢から手術の負担が重く、重粒子線単独での治療だったのかもしれません。

 すい臓がんの5年生存率は12.1%。ステージ1でも49.8%です。この49%に入るためには、手術できるかどうかにかかっています。重粒子線治療が誕生しても、根治を目指すなら手術なのです。

 そこで、見逃せないのが化学療法でしょう。効果的な薬剤が登場し、従来なら「手術不能」とされた症例に使用することで、手術できるケースが珍しくなくなっているのです。

 その薬剤が、ゲムシタビン、ナブパクリタキセル、フォルフィリノックスの3剤併用療法。これによって手術ができるケースは、コンバージョン手術と呼ばれます。これが適用になると、最初から手術適用の人と遜色ない成績です。

 そのためには、手術に耐え得る体力が欠かせません。そもそも、3剤併用療法は、8カ月という長期に及びますから、最初から手術ができるステージ1、もっといえばステージ0で見つけるのが理想です。

 早期発見の武器が、石原さんも行った超音波検査。すい臓の消化液が流れるすい管の拡張とすいのう胞(すい臓にできる袋状のもの)が見つかったら、精密検査を受けること。特に糖尿病や慢性すい炎、大量飲酒、喫煙はすい臓がんのリスクですから、1年に1回の超音波検査をお勧めします。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    もしやり直せるなら、入学しない…暴力に翻弄されたPL学園野球部の事実上の廃部状態に思うこと

  2. 2

    「たばこ吸ってもいいですか」…新規大会主催者・前澤友作氏に問い合わせて一喝された国内男子ツアーの時代錯誤

  3. 3

    永野芽郁は疑惑晴れずも日曜劇場「キャスター」降板回避か…田中圭・妻の出方次第という見方も

  4. 4

    巨人阿部監督が見切り発車で田中将大に「ローテ当確」出した本当の理由とは???

  5. 5

    「高島屋」の営業利益が過去最高を更新…百貨店衰退期に“独り勝ち”が続く背景

  1. 6

    かつて控えだった同級生は、わずか27歳でなぜPL学園監督になれたのか

  2. 7

    JLPGA専務理事内定が人知れず“降格”に急転!背景に“不適切発言”疑惑と見え隠れする隠蔽体質

  3. 8

    「俳優座」の精神を反故にした無茶苦茶な日本の文化行政

  4. 9

    (72)寅さんをやり込めた、とっておきの「博さん語録」

  5. 10

    第3の男?イケメン俳優が永野芽郁の"不倫記事"をリポストして物議…終わらない騒動