著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

前立腺がんの80代男性「自力でトイレに行きたい」と自宅療養を選択

公開日: 更新日:

 ADL低下予防のために最近、在宅医療を選択した前立腺がんの男性(80歳)がいます。

 前立腺がんは男性ホルモンの分泌を抑えるホルモン療法が有効です。しかし、やがてはそれが効かなくなる。こうなった前立腺がんを「去勢抵抗性前立腺がん」といい、この男性もまさにそうでした。

 去勢抵抗性前立腺がんでは抗がん剤などの治療が行われます。しかしそれも効かなくなってきた。前立腺がんによる痛み、排便状態悪化があり、今後さらにひどくなる可能性を考えると、緩和医療のために入院も……という話も出てきたのですが、ご本人と娘さんは「(過去の入院経験から)ADLが低下するのは避けたい。自力でトイレに行きたい。在宅で」との希望でした。

 ある日の私たちのやりとりです。「浣腸したってしょうがないじゃん」という男性に対し、「浣腸が必要ないっていうのは喜ばしいことですけど、例えば熱が出たりしたらすぐ対処できますから」と私。すると男性は「じゃ、それ入れてもらおうよ」。娘さんが「こないだ、それは嫌だって言ったじゃない!」とツッコむと、男性は「あ、キャンセルしたんだった」。この男性は、すごく率直に意見を述べる方なんですね。トイレも、現在のところ伝え歩きをしながら、自分で済ませている。入院生活では「伝え歩き」は転倒の危険ありとみなされ、止められていたでしょう。他にもさまざまな制限がある。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった