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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

効果を示すさまざまな指標…「正しい指標」があるわけではない

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 マスク推奨の効果は相対危険で0.884ということもできるし、相対危険減少で11.6%少なくなる、ということもできる。さらには絶対危険減少で0.97%(6カ月)少なくなる、治療必要数で103人(同)にマスクを推奨して1人のコロナ発症を予防することができるということもできる。これはひとつの研究の同じ数字を基にして計算されたものである。それにもかかわらず、相対危険、相対危険減少では、絶対危険減少、治療必要数に比べて効果を大きく感じられる。

 客観的と思われる計算上の指標も、必ずしも客観的とはいえない面がある。多くの論文が絶対危険減少でなく、相対危険や相対危険減少で報告されるのは、以前指摘したように効果を大きく見せるからというバイアスがある。しかし、効果を大きく見せることで集団としての予防効果を高めることが期待できるかもしれない。

 さらに、マスクの効果はコロナに限定されたものではない。コロナの流行期にインフルエンザなど他の感染症の流行が抑えられたことについて、マスクの影響は案外大きいかもしれない。バイアスは必ずしもネガティブだけではない。バイアスにもいい面、悪い面がある。単純な思考では情報の多面的なところに迫ることはできない。

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