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名郷直樹「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長

「武蔵国分寺公園クリニック」名誉院長、自治医大卒。東大薬学部非常勤講師、臨床研究適正評価教育機構理事。著書に「健康第一は間違っている」(筑摩選書)、「いずれくる死にそなえない」(生活の医療社)ほか多数。

「情報の当てはまり」について改めて考える…動物とヒトとの距離は遠い

公開日: 更新日:

 しかし、現実にはそういう視点で書かれる記事は少なく、あたかも現時点で受けることのできる先進的医療のごとく患者が受け取ってしまいかねないようなひどい記事もある。

 そうした一般論を踏まえてマスクの予防効果について考えてみよう。コロナ感染において重要なエアロゾルは不織布マスクを通過するという実験データがある。通過するのであれば「マスクでは予防できない」と考えるのは普通だろう。

 しかし、不織布マスクがエアロゾルを通すという事実がいかに正しいとしても、マスクを装着したヒトで予防効果があるかどうかはよくわからないと考えるべきだし、また逆に、もし不織布マスクがエアロゾルを通さないとしてもヒトが装着して予防効果があるかどうかはわからないと考えた方がよい。だからこそ、そうした実験結果にかかわらず、実際にヒトがマスクを装着してどういう効果があるかがランダム化比較試験という形で検討されるわけである。

■実験結果が個々の患者に当てはまるかどうかはわからない

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