著者のコラム一覧
青島周一勤務薬剤師/「薬剤師のジャーナルクラブ」共同主宰

2004年城西大学薬学部卒。保険薬局勤務を経て12年9月より中野病院(栃木県栃木市)に勤務。“薬剤師によるEBM(科学的エビデンスに基づく医療)スタイル診療支援”の確立を目指し、その実践記録を自身のブログ「薬剤師の地域医療日誌」などに書き留めている。

手術を受けるなら男性外科医?女性外科医? 結果に違いあり スウェーデンの研究チームが報告

公開日: 更新日:

 男性医師と女性医師では診療行為に若干の違いを認めることが知られています。たとえば女性医師は、男性医師と比べて標準的な指針である診療ガイドラインに沿った治療を行う頻度が高く、患者を中心としたコミュニケーションを積極的に行う傾向が報告されています。

 一方で、外科的な治療における医師の性別と治療成績の関連性については質の高い研究データが限られていました。そんな中、男性の外科医と女性の外科医で手術の結果に違いを認めるかどうかを検討した研究論文が、米国医師会が発行している外科の専門誌に2023年8月30日付で掲載されました。

 スウェーデンで行われたこの研究では、胆のう炎などで胆のうの摘出手術を受けた15万509人が解析対象となりました。このうち3万7847人が女性外科医の手術を受け、11万2662人が男性外科医の手術を受けました。なお、胆のうとは食べ物の消化を助ける胆汁酸という物質を貯蔵する臓器です。炎症を起こすと胆のう炎を発症し、重症の場合には手術によって胆のうを摘出します。

 解析の結果、男性外科医が手術した患者では、女性外科医が手術した患者と比べて、手術に関連した合併症(出血や臓器の損傷など)が1.29倍、統計学的に有意に多いことが示されました。また、術後の感染症や他の臓器の合併症など、手術中と手術後に発生したすべての合併症を含めて解析をしても、男性外科医による手術で12%、統計学的に有意に多いという結果でした。

 一方、手術時間については男性外科医よりも、女性外科医で約8分長いことが示されました。論文著者らは、男性外科医と比べて、女性外科医はより丁寧に外科処置を行っていた可能性について考察しています。

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