花粉症専門医に聞く(4)新薬「ゾレア」はどんな人が対象になる?

公開日: 更新日:

 重症患者向けに開発された「ゾレア」(一般名オマリズマブ)は、抗IgE抗体医薬になります。花粉症は、IgE抗体がマスト細胞に結合して起こります。ゾレアは、この結合を防ぐ働きがあります。

 ゾレアは本人が使いたいと思っても、決まった条件をクリアしないと使えません。まず、スギ花粉に特異的なIgE抗体が認められること。アレルギー検査(血液検査)でスギ花粉抗原に対する血清特異的IgE抗体がクラス3以上でゾレアの投与対象となります。

 次に、抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイドといった既存治療を1週間以上行い、効果が不十分であること。ちなみに、ゾレアを使う場合も、抗ヒスタミン薬は併用することになります。

 ゾレアは注射薬。体重に応じて量が決まっており、2週間または4週間に1度皮下注射します。

 臨床研究では、花粉飛散前から抗ヒスタミン薬を服用し、症状が出てから鼻噴霧用ステロイドを使った患者さんのグループでは、花粉飛散のタイミングでは鼻症状が7点近くまで達したのに対し、ゾレアを併用した群では5点近くまでしか上がりませんでした。しかも、症状が花粉飛散前と同等のスコアまで速やかに戻ったのです。従来薬ではどうしようも対応できなかった重症患者さんにとっては、かなり期待できる薬です。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  2. 2

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  3. 3

    阪神・佐藤輝明が“文春砲”に本塁打返しの鋼メンタル!球団はピリピリも、本人たちはどこ吹く風

  4. 4

    自民両院議員懇談会で「石破おろし」が不発だったこれだけの理由…目立った空席、“主導側”は発言せず欠席者も

  5. 5

    広末涼子「実況見分」タイミングの謎…新東名事故から3カ月以上なのに警察がメディアに流した理由

  1. 6

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃

  2. 7

    国保の有効期限切れが8月1日からいよいよスタート…マイナ大混乱を招いた河野太郎前デジタル相の大罪

  3. 8

    『ナイアガラ・ムーン』の音源を聴き、ライバルの細野晴臣は素直に脱帽した

  4. 9

    初当選から9カ月の自民党・森下千里議員は今…参政党さや氏で改めて注目を浴びる"女性タレント議員"

  5. 10

    “死球の恐怖”藤浪晋太郎のDeNA入りにセ5球団が戦々恐々…「打者にストレス。パに行ってほしかった」