著者のコラム一覧
下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

呼びかけに応じない状態でも好きなクラシック音楽が流れると目が輝く

公開日: 更新日:

「ごめんなさい、間違えてお渡ししてしまったCDを次回の診療の時に戻していただければとお伝えしましたが、やはり聴いているといないとでは、だいぶ変わるから聴かせたいとご家族がおっしゃっていて、着払いでもいいのでCDを送っていただけませんか、申し訳ございません!」

 とそんな連絡が当院宛てに、ホスピスの看護師さんからあったのは、ある有料老人ホームで訪問診療を終えて医院に戻ってしばらくしてからのことでした。診療情報が入ったCD-ROMを私たちに渡す際、患者さんの私物のクラシック音楽のCDを混同させてしまったというのです。

 この患者さんは認知症とALS(筋萎縮性側索硬化症)を患う70代後半の女性。ALSは、筋肉を動かし、かつ運動をつかさどる運動神経が障害され、筋肉がだんだん痩せ衰え、最後には動かなくなってしまう病気です。

 手が動かしにくくなったり、しゃべりにくくなり、食べ物ものみ込みにくいといった症状が徐々に進行するのが特徴で、患者さんも呼吸筋が落ち、呼吸が弱まりつつありました。夜間は酸素マスクが必要であるのにもかかわらず、マスクを付けないで過ごすなど、投げやりになり、生きることを諦め死を身近に思われる、いわゆる希死念慮もお持ちのご様子でした。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  2. 2

    高市政権の物価高対策はもう“手遅れ”…日銀「12月利上げ」でも円安・インフレ抑制は望み薄

  3. 3

    元日本代表主将DF吉田麻也に来季J1復帰の長崎移籍説!出場機会確保で2026年W杯参戦の青写真

  4. 4

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  5. 5

    京浜急行電鉄×京成電鉄 空港と都心を結ぶ鉄道会社を比較

  1. 6

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  2. 7

    【時の過ぎゆくままに】がレコ大歌唱賞に選ばれなかった沢田研二の心境

  3. 8

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 9

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  5. 10

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾