(6)自分のことができなくなった母、ヘルパーを頑なに拒否する父

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 父親に問いただすと、母が自分でやろうと思えばできると思っていた、と力なく答えた。しかしこんな事態に陥っているのに、母が退院しても、家の中にヘルパーらが入るのは絶対に嫌だ、という態度は崩さない。

「お父さんが支援はいらない、いらないと言うからこうなったんじゃないか」と私は声を荒らげた。

 翌日、朝一番の羽田からの帰郷便に乗り、実家に到着するととりあえずの準備をして、母の車でA救急病院へ向かった。

 前日、入院先の評判を検索したのだが、口コミ評価がかんばしくないことが気がかりだった。しかし、医療が逼迫しているコロナ禍で、熱中症で倒れた母の入院を受け入れてくれた病院には感謝するしかない。

 到着すると、フェースシールドと医療用のサージカルマスクをつけた看護師が小走りに裏口に出てきた。申し訳ないけれど、東京の人はここから先へは入れません。もちろんお母さまにも会えません。そう告げると、パイプ椅子を広げ、母は熱中症であること、点滴と内服薬で安静にするという処置を行うことが告げられ、私はサインをした。 (つづく)

▽如月サラ エッセイスト。東京で猫5匹と暮らす。認知症の熊本の母親を遠距離介護中。著書に父親の孤独死の顛末をつづった「父がひとりで死んでいた」。

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