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下山祐人あけぼの診療所院長

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

肺がん末期の80代男性「いつ最期を迎えてもおかしくない…どうしても今日、家に帰りたい」

公開日: 更新日:

 電話口の病院担当者の声には、急な展開への戸惑いがにじんでいました。

「今晩中に亡くなる可能性もありますが、先生、往診をお願いできないでしょうか?」

 もちろん私はその依頼を受け、ただちにご自宅へ向かいました。

「今、苦しさはありませんか?」(私)

「さっき熱があって……病院へ行った方が楽だったのかしら」(奥さま)

「病院でも、できることには限りがあります。ご本人が安心できる場所が一番良いと思いますよ」(私)

「もう会話もままならなくて……」(奥さま)

 ご自宅に戻ったことが本当に正しかったのか、不安を感じているご様子でした。

「必要なときに、必要なだけ会話はできます。声は最後まで届いていますから、一番大切なのは、奥さまと過ごす時間です。今日はたっぷり一緒にいてあげてくださいね」(私)

「はい」(奥さま)

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