(29)時はコロナ禍…東京ー熊本の行き来は絶対に誰にも言えない

公開日: 更新日:

 2度に分けて猫たちを東京に運び終えると、少し前からなんとなく感じていた精神的な疲れが突然、大きな波となって襲ってきた。母はどうなっているかわからない状態で入院している。そして父はいなくなった。もうこの家に誰も帰ってくることはなくなったのだ。

 昨年の今頃には夢にも思っていなかったことが今、起きている。それでも進めなければならない実家のこと。そして自分自身のフリーランスの仕事。これらに挟まれ、私は突然、何も考えることができなくなった。

 この頃のメモを見ると「孤独感が大きくて胸がつぶれそうだ」と書いている。さらに仕事仲間に効率が落ちていることを激しく責め立てられるという出来事が起きた。重圧で混乱していることが理解してもらえないという恐怖が加わり、私は追い詰められていった。 (つづく)

▽如月サラ エッセイスト。東京で猫5匹と暮らす。認知症の熊本の母親を遠距離介護中。著書に父親の孤独死の顛末をつづった「父がひとりで死んでいた」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    ドジャース佐々木朗希「今季構想外」特別待遇剥奪でアリゾナ送還へ…かばい続けてきたロバーツ監督まで首捻る

  4. 4

    中日・中田翔がいよいよ崖っぷち…西武から“問題児”佐藤龍世を素行リスク覚悟で獲得の波紋

  5. 5

    西武は“緩い”から強い? 相内3度目「対外試合禁止」の裏側

  1. 6

    「1食228円」に国民激怒!自民・森山幹事長が言い放った一律2万円バラマキの“トンデモ根拠”

  2. 7

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  3. 8

    辞意固めたか、国民民主党・玉木代表…山尾志桜里vs伊藤孝恵“女の戦い”にウンザリ?

  4. 9

    STARTO社の新社長に名前があがった「元フジテレビ専務」の評判…一方で「キムタク社長」待望論も

  5. 10

    注目集まる「キャスター」後の永野芽郁の俳優人生…テレビ局が起用しづらい「業界内の暗黙ルール」とは