70代男性は「床ずれ」がひどく、家でのケアを不安視していたが…
在宅療養をきっかけに仕事を見直したり、退職を選ぶ患者さんやご家族も少なくありません。当院にも多くの相談が寄せられ、そのたびにこうしたお話をさせていただいています。
たとえば、ある70代の男性の患者さんは、脳出血で長期入院された後、退院のめどが立ち、在宅医療を開始されました。ご家族も「自宅で介護したい」という強い思いをお持ちでしたが、入院中にできた深い褥瘡(床ずれ)の治療が必要で、「家でのケアは難しいのでは……」と不安を抱かれていました。
しかし、形成外科医による訪問診療で「在宅でも十分に対応可能」と説明を受け、訪問看護でも体位交換やガーゼ交換などの処置が行えることを理解いただいたことで、自宅療養をスタートすることができました。
その後は、ご家族の希望により自費で訪問看護を増やし、褥瘡処置や体位変換、ガーゼ交換を手厚く行う体制を整えました。また、脳出血後の健康管理も継続的に行い、形成外科医の訪問と交互に診察することで、安定した療養生活が送れるようになりました。現在では、ご家族の献身的なケアと医療との連携により、患者さんは自宅で穏やかな日々を過ごされています。