(3)発酵してできた短鎖脂肪酸は毒素を減らす効果が期待できる
「現在、とくに女性に増えている大腸がんも、酪酸が抑えてくれるという研究データがあります」
今年になって発表された、日本を含む11カ国の大腸がんを対象とした国際共同研究によると、日本人症例の5割に、一部の腸内細菌から分泌される「コリバクチン毒素」によるがんの変異パターンが存在することが明らかになった。コリバクチン毒素が、大腸がんに関わっている可能性もあるということだ。
コリバクチン毒素をピンポイントで取り除く薬剤はないが、発酵性食物繊維を食べて短鎖脂肪酸を増やせば、コリバクチン毒素を減らす効果が期待できる。
「善玉菌が増えて悪玉菌が減ることで、悪玉菌の出す毒素が減ることも重要です」
女性の場合、肌の乱れは毒素の影響が大きく、毒素が減ることで肌荒れが治まる。また男女ともに、腸の調子が悪いときに感じるだるさ、疲労感なども軽減されるという。
近年のトピックである「脳腸相関」は、腸でできた成分が脳に忍び込んで、脳で感じたストレスで便通が乱れたり、腸の不調で睡眠が乱れたりすることが知られている。