脳腫瘍で手術後、聞き取れないほど言語不明瞭となり認知機能も低下
オンライン健脳カフェに寄せられた質問です。
「友人のご主人が言葉をうまく話せず、病院で脳腫瘍と診断されました。手術となり、2カ月間入院。先日退院したのですが、何を話しているのか聞き取れないほど言語不明瞭で、電子レンジの使い方すら忘れており、歩く速度が非常に遅くなっていました。入院前は車の運転もできていたのですが……。リハビリをすれば言葉を話せるようになり、また認知機能も回復するのでしょうか?」
まずはこのご主人が脳腫瘍の手術ができ、ご自宅に帰れたこと、大変素晴らしいと思います。腫瘍の種類、場所、大きさ、周囲の組織との関係によっては、手術が難しい場合がありますから。
さて、実際に患者さんを診たわけではないのであくまでも一般論になりますが、言葉をうまく話せなくなり受診されたということから、腫瘍ができた場所が、話すための口や舌の運動機能に関するところだったと考えられます。
脳腫瘍の手術を受けてから2カ月ですので、言語不明瞭なのは致し方ありません。
今後、言語療法士とともにリハビリしていくことによって、改善が見込まれると思います。リハビリの内容としては、呼吸・発声の練習、舌や唇の体操、音読、声の大きさ・話すスピードの調整などがあります。元通りに言葉を話せるようになるかは、なかなか分かりません。脳腫瘍でダメージを受けた場所、また手術でどれくらいの部分を切除したかによって、予後が変わってきます。
通過症候群といって、脳が何らかのダメージを受けると(今回で言えば脳腫瘍)、しばらくの間、健忘、感情の不安定さ、自発性の低下などが見られます。脳の損傷が回復するにつれ改善していくもので、電子レンジの使い方を忘れるなど認知機能が低下した状態も、この先は改善していくことでしょう。
どれくらい回復するかがリハビリの希望となるようであれば、主治医に確認してみるのもひとつの方法です。ただし、リハビリの頑張り具合によっては医師の見立て以上の将来が待っているかもしれません。期待していたような答えを主治医がくれなくても決して悲観してはいけません。
そして、ご本人はもとより、家族や親しい友人など周囲にいる方も、決して焦らないこと。無理をせず、休まず、反復することが重要。長期戦で取り組んでください。