(1)冬に増える「心血管系疾患」…夜間は酒がらみの外傷が目立つ
「この時期に多いのは脳出血、大動脈解離、心筋梗塞、心不全、急性血管症候群、気管支喘息の悪化といった疾患と外傷です。夜間の外傷の場合、半分以上が飲酒がらみの事故です。当センターは中野区にあり、繁華街(新宿)に近いので、夜、アルコールを飲んで転び、頭などいろいろな箇所をケガして救急搬送される方も多いのです。忘年会などで飲み過ぎた時には転倒しやすくなります。無理せずタクシーなどでの帰宅をお勧めします」(三浪科長)
高齢者の場合は、特に注意が必要です。転倒は要介護の原因ともなるからです。厚労省の「国民生活基礎調査」(令和4年)によると、骨折・転倒は要介護の原因の第3位(13.0%)となっています(1位=認知症23.6%、2位=脳血管疾患19.0%)。
センターには体の複数箇所に重傷を負った多発外傷の人から酒に酔って転んだだけの軽傷な人まで、さまざまな患者が搬送されてきます。中には救急現場を疲弊させる患者もいるそうです。
「20代の患者さんが、酒を飲んで転んだと言って搬送されてきたのですが、検査をしても異常がありませんでした。が、本人は酔っぱらっており納得されませんでした」(三浪科長)
以前から、救急医療の現場では、不適切な搬送依頼が問題視されてきましたが、重症患者を救うためにもこういった身勝手な要求は控えてほしいものです。 =つづく
(医療ジャーナリスト・油井香代子)


















