米国の医療ドラマを見て考えされられた…現場で人を救う医師の勇気
「あなたいったい何をしたの? 体の中はまるでブルドーザーが暴れまわったみたいよ!」
決定的ダメ出しです。彼は患者を救おうとしました。帝王切開がすぐに必要と判断し、自分で実施する、という判断もしました。その判断は正しかったのでしょうか?
帝王切開の判断は間違っていたのかも知れません。産科の専門医の出番を待つべきだったのかも知れません。看護した周囲のスタッフの冷たい視線を感じながら、彼が打ちひしがれて帰宅しようとしたとき、一部始終を見学していた医学生が歩み出て言いました。
「センセイは立派でした」
日常の医療の現実、医師の苦悩をしっかりと表現した最高のドラマです。この原稿を書いていても涙がこみ上げてきます。
自分の判断で患者が亡くなり、周囲から理解されず、非難される事態。周囲から非難されなくとも、最悪の結果に自分を非難してしまう状況。命にかかわる診療科の医師の日常です。
医師が出てくる小説はたくさんあります。1949年ノーベル文学賞受賞のウィリアム・フォークナー(1897~1962年)の「野生の棕櫚(The wild palms)」(39年)では、堕胎手術で恋人を死なせてしまう医師ハリーが登場します。


















