(14)母が口にした…まさか、まさかのタンス預金

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「さん……」

 30万円か。まぁ、そのくらいはよくある話だな。

「……びゃくまん」

 うそでしょ!

「ホントに? どうすんの、それ」

「銀行に入れるなり、ふたりで分けるなり、任せる」

 なんでそんな場所に大金を置くかな。正直言おう。この話が出るまで我々息子たちは家の財産がどのくらいあるのか知らなかった。父親が早く亡くなった時、全ての財産をおかんが相続し、管理してきたからだ。

 それを急に任すと言われてもひとりでは決められない。兄に連絡し、ふたりで通帳の確認とベランダの探索をすることにした。すると、隅のシンクの下からガラクタにまじって4つの缶を発見。ご丁寧に外も内もビニールで頑丈に補強されている。丁寧にはがしていくと、顔を出す福沢諭吉さん。数えたらおかんの話より多く400枚。笑うしかなかった。

 けれど喜んでいられない。こんなものを一気に銀行に預けたら、後の相続で面倒が起こるかもしれない。悩んだ末、ふたりで半分ずつ持ち帰り各自で保管。通帳は2冊あったのでそれぞれ管理することにし、額の多い方を兄に委ねた。実家近くに住んでいるので、病院などの支払いをここから行うためだ。

【連載】シニアな息子と母の介護物語

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