(18)母親のパンツ選びは還暦を過ぎた息子じゃ無理

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 承諾書へのサインを求められた。このような行動は「自分はもう大丈夫」との思い込みによるものなのだろうか。いや、認知症テストの低い点数を考えるとそうではあるまい。転院数日前に介護認定「要介護3」の通知が来ていたこともあり、今後どのようなことが起こるのかモヤモヤした気分になっていると、おかんが担当の若い女性理学療法士に付き添われリハビリから戻ってきた。

 この理学療法士がかなりお気に入りなのだろう、別れ際には明るい笑顔で「じゃあ、またあとでね」と無邪気に手まで振っている。転倒以来、おかんの笑顔をほとんど見ていなかったので少し気分がやわらいだ。これならお小言も素直に聞くかも……。

「トイレに行く時は必ずナースコールを押して欲しいって言われてるんでしょ。夜はとくに危険だから必ず押してね」

 優しく言い含めると、「ちゃんとやっているよ」。一蹴されてしまった。やれやれ。苦笑いしていると、おかんは急に声を潜めてこう続けた。

「あのね、これは他の人には言ってなかったんだけど……」

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