身寄りのない独居高齢者を支える「成年後見制度」という選択肢
では、認知症になる前に持ち家を売却し、施設に入所しておけばよかったのでしょうか。しかし、寿命がいつまで続くかわからない中で、自宅を手放す決断をするのは簡単なことではありません。
1人暮らしの高齢者の多くが不安に感じていることのひとつが、「自分で判断できなくなった時、お金や生活をどう管理するのか」という問題です。
実際、この患者さんのように、資産はあっても身寄りがない高齢者の中には、「成年後見制度」を利用している方が少なくありません。
成年後見制度とは、財産管理や重要な契約などを本人に代わって行い、その人の権利や生活を法的に守る制度です。成年後見人には親族だけでなく、専門研修を受けた市民や、福祉・法律の専門職、NPO法人などの団体が選ばれることもあります。家庭裁判所が信頼性や適性を慎重に判断し、本人にふさわしい人を選任します。
例えば、詐欺被害を防いだり、同じ商品を何度も購入してしまった際の返金手続きを行ったり、キャッシュカードの暗証番号を忘れてしまった人の代わりに生活費を引き出したりと、日常生活のさまざまな場面で支えとなります。
1人暮らしで療養生活を考えている方にとって、成年後見制度は将来への大きな備えになります。元気なうちから、こうした制度について知っておくことはとても大切だと感じています。



















