著者のコラム一覧
東敬一朗石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師

1976年、愛知県生まれの三重県育ち。摂南大学卒。金沢大学大学院修了。薬学博士。日本リハビリテーション栄養学会理事。日本臨床栄養代謝学会代議員。栄養サポートチーム専門療法士、老年薬学指導薬剤師など、栄養や高齢者の薬物療法に関する専門資格を取得。

筋肉の栄養源「BCAA」はクスリとしても使われている

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 こうした状態では、BCAAが相対的に不足しやすく、逆に芳香族アミノ酸(AAA)という別のものが増えてしまいます。このBCAAとAAAのバランスのことを、発見した人の名前をとって「Fischer比」といい、肝硬変ではFischer比がおかしくなります。そこでBCAAをたくさん補って、AAAを減らすことで体内のアミノ酸のバランスを整えるのです。

 BCAAによって肝臓のエネルギー不足が改善されると、肝臓の機能がある程度戻り、体に必要なタンパク質をつくったり、有毒なアンモニアを代謝することができるようになり、肝硬変患者のメリットになるのです。日本でクスリとして使われている医療用のBCAA製剤は、こういったことを目的として非代償性肝硬変の患者の治療に使われています。

 ここで、「BCAAならサプリでも同じでは」と思われる方もいるかもしれません。しかし、クスリとしてのBCAAは、対象となる病気、用法用量、副作用などの注意点が明確に定められています。当然、BCAAだけで栄養がすべて賄えるわけではないため、食事で必要なエネルギーやタンパク質が充足できているかどうかをチェックしながら使います。つまり、クスリのBCAAは「元気が出る栄養補助食品」ではなく、あくまで疾患の「治療薬」なのです。

 次回はクスリとしてのBCAAについて、さらに具体的に説明します。

【連載】高齢者の正しいクスリとの付き合い方

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