世界中で問題になっている「多剤耐性菌」には細心の注意が必要
世界的な医学誌「ランセット」で発表された研究によると、2021年の多剤耐性菌に関連する死亡者数は世界で約471万人と推定され、2050年には多剤耐性菌に関連する死亡者数が約822万人に達する可能性があるとされています。日本でも、MRSAなどの多剤耐性菌による菌血症により、年間約8000~1万7000人が死亡していると推計されています。多剤耐性菌に対する抗菌剤は限定的ですが高額な医薬品でもあり、感染症対策に関わる医療費の高騰にもつながるので、多剤耐性菌は世界中で深刻な問題となっているのです。
もちろん、われわれも多剤耐性菌、特に冒頭で触れたMRSAとVREに注意を払っています。
MRSAは、人間や動物の皮膚などの体表面に常在するブドウ球菌が、メチシリンやマクロライドなどの抗菌剤に耐性を持ったものです。通常は無害ですが、免疫力が低下している患者さんや高齢者が感染すると、産生される毒素によって、肺炎、敗血症、心内膜炎といった重症感染症を引き起こします。敗血症になると他の臓器を容易に障害して死亡する可能性が高く、外科医にとっては最大の敵といえます。


















