(5)睡眠中に脳は“大掃除”される…グリンパティック系の正体
しかし、多くの昼寝は浅いノンレム睡眠にとどまり、夜間睡眠のような十分な徐波睡眠に到達しない。そのため、グリンパティック系による老廃物除去という点では、夜間睡眠ほどの効果は期待しにくいと考えられている。
また、脳の掃除機能は睡眠だけでなく体内時計(サーカディアンリズム)の影響も受けており、「夜」という生理的な時間帯に最も効率よく働くことが分かってきた。昼間に長時間眠っても、夜間睡眠と完全に同じ生理状態にはならないのである。
もちろん、夜勤労働者や交代勤務者では事情が異なる。十分な睡眠時間を確保すれば一定の回復は得られるが、昼間睡眠では光や騒音などの影響で深い睡眠が減少しやすく、グリンパティック機能も十分に発揮されない可能性が指摘されている。このことは、夜勤従事者で生活習慣病や認知機能低下のリスクが高い理由のひとつとしても研究が進められている。
睡眠不足が続くと、翌日の眠気だけが問題となるのではない。脳の掃除が不十分になれば、老廃物が少しずつ蓄積し、長い年月をかけて脳の老化や認知症発症を早める可能性がある。睡眠障害がアルツハイマー病発症の何年も前からみられることは以前から知られていたが、現在では「睡眠障害が病気の結果であるだけでなく、原因にもなり得る」という双方向の関係が重視されている。


















