著者のコラム一覧
室井佑月作家

1970年、青森県生まれ。銀座ホステス、モデル、レースクイーンなどを経て97年に作家デビュー。TBS系「ひるおび!」木曜レギュラーほか各局の情報番組に出演中。著書に「ママの神様」(講談社)、「ラブ ファイアー」(集英社文庫)など。

性行為のデジタル同意書アプリがリリース「キロク」されないあの一回は…

公開日: 更新日:

 ずいぶん昔、レースクイーンをしていた頃だ。レース場にその頃親しくしていた友人の一人がやってきた。レースが好きだと聞いたことがなかったので、突然の訪問には驚いたが、仕事を辞め、東京の家を引き払い実家に帰るんだといった。「自分は駄目なんだ」とつぶやき、笑って。

 彼は仲間内で場を和ませるため、自分から笑われにいくようなタイプだった。いつも笑っていた。が、その日の笑顔は、泣いている病人のような笑顔だった。

「誰かに相談した?」そうあたしが問うと、彼は力なく首を振った。きっと彼に「あなたは駄目じゃない」とどれだけいっても、今は信じてくれないだろう、そう感じた。独りでそのまま帰せなかった。その夜、あたしは彼と寝た。

 彼はその後、誰とも、あたしとも連絡を絶った。それでもあたしは『キロク』されないあの一回は、あって良かったのだと思ってる。自分にとっても、彼にとっても。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    北島三郎(3)「北島ファミリー」の長女・原田悠里が語る御大

  2. 2

    バナナマン日村が簡単に復帰できそうにない「もう1つの理由」…レギュラー11本抱える人気者のジレンマ

  3. 3

    「マクドは健康保険と年金に加入できてよかった」 シニアが働き続けるために必要なこととは?

  4. 4

    東京・蒲田の2駅結ぶ蒲蒲線、大田区と地元を取材して分かった実現のハードルと地元の思い

  5. 5

    NHK夏の音楽特番「うたであえたら」は北川景子のMCが見事 カオスと化した近年の紅白はお手本に

  1. 6

    菊池風磨はジャニー喜多川氏の“推薦”もあって慶大総合政策学部に進学 仕事の合間に1日10時間の猛勉強

  2. 7

    KDDIが楽天モバイルへの「ローミング」終了でライバルの“品質低下”を狙い撃つ

  3. 8

    豊昇龍が長期離脱で大の里までピンチ! “ひとり横綱”の重圧で「共倒れ」にならないか

  4. 9

    徳川光圀(1)水戸黄門は全国漫遊などしていない 主に出かけたのは江戸と領地の往復

  5. 10

    永野芽郁がキャバ嬢で「復帰」もM!LKファンやきもき…共演するかもしれない佐野勇斗への“キラー”ぶり警戒