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内田正治タクシードライバー

1951年埼玉県生まれ。大学卒業後、家業の日用品、雑貨の卸会社の専務に。しかし、50歳のときに会社は倒産。妻とも離婚。両親を養うためにタクシードライバーに。1日300キロ走行の日々がはじまった。「タクシードライバーぐるぐる日記」(三五館シンシャ)がベストセラーに。

(25)その女性客は“オバケ”ではなかったけれど…「津田梅子」新札登場でふと思い出した

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■忘れられない女性

 女性客といえば、忘れられない思い出がある。10年ほど前のある春の夜、銀座でのことだ。無線配車で指定の場所に到着した。待っていたのは60代とおぼしき女性。乗り込んでくるなり「運転手さん、今日はいい日だったの。聞いて」と明るく話しかけてきた。目的地の確認以外、こちらから話しかけるのはルール違反だが、お客から話しかけられれば応対するのがマナーというものだ。「どうなさいましたか?」と私は応じた。お酒が入って上機嫌そうなそのお客は、待ってましたとばかりに「私、今日で銀行を退職したの。入行して以来、最後まで勤め上げたの」と語りはじめた。そして、大学4年生のときに受けた銀行の面接試験のエピソードを紹介してくれた。

 その話によれば、面接官の「あなたはいつまで勤めるつもりですか?」という問いに対して、彼女は「定年までです」と答えたという。3人の面接官は、大笑いして「元気がいいね」と彼女の言葉をジョークとして聞き流したという。当時、多くの企業、とりわけ銀行などでは、ほとんどの女性は入社後数年過ぎれば、結婚によっていわゆる寿退社するのが当たり前の時代だった。

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