関税交渉の“落とし穴”に…飛び入りトランプ大統領「安保タダ乗り論」展開、日本を脅した本当の狙い

公開日: 更新日:

再び迫られるのは米国製兵器の爆買い

「トランプ氏の安保タダ乗り論は日米安保条約の半分しか語っていません。確かに5条で『米国による対日防衛義務』を規定する一方、憲法の制約上、米国を守れない日本は6条の『対米基地提供義務』に基づき、代わりに基地を提供している。しかも年度平均約2110億円の思いやり予算は安保条約上、日本側に義務のない負担です。他にもSACO(沖縄に関する特別行動委員会)経費や在日米軍再編費、防衛省の基地周辺対策費などを加えれば、真の駐留経費は年間約8000億円を超えます」(防衛ジャーナリスト・半田滋氏)

 さらなる増額は本来なら聞くに値しないが、「高めのボール」を投げて相手をビビらせるのが、トランプ流の交渉術。安倍政権時に負担4倍増を吹っ掛け、兵器を大量に買わせた成功体験に味を占めているのだろう。

「次はオスプレイ後継機『V280バロー』のトップセールスも考えられます。陸自配備分のオスプレイ17機を1機200億~300億円で置き換えれば3400億~5100億円、配備数を増やせば将来的に兆円規模のビジネスになる。トランプ氏の安保政策は米保守系シンクタンク、ヘリテージ財団の提言集に従っていると目され、その『プロジェクト2025』なる文書は中国を最大かつ真の脅威と位置づけています。地政学上も日本の防衛力を米国の名代として強化し、自前で兵器をもっと買えというわけです」(半田滋氏)

 こんなムチャぶりに応じていけば、日本の国力は衰退の一途だ。

  ◇  ◇  ◇

 今回の日米関税交渉で日本が持参した危険な「お土産」とは何なのか? 関連記事【もっと読む】で詳しく報じている。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • トピックスのアクセスランキング

  1. 1

    進次郎農相の「500%」発言で抗議殺到、ついに声明文…“元凶”にされたコメ卸「木徳神糧」の困惑

  2. 2

    進次郎大臣は連日の視察とTV出演で大ハシャギ…ムチャぶりされる農水省は“ブラック企業化”のお気の毒

  3. 3

    ドン・キホーテが進次郎農相に異例の「直訴」…コメ流通は消費者ファーストではないのか? 識者が解説

  4. 4

    三井化学が石油化学事業を分社化…その先で描くのは過剰な同業他社との再編だ

  5. 5

    大阪万博は値下げ連発で赤字まっしぐら…今度は「駐車場料金」を割引、“後手後手対応”の根本原因とは

  1. 6

    自公政権の無策で失われていく庶民の味…「カレー」「ラーメン」「焼き肉」「洋菓子」「ステーキ」すべて倒産件数最多

  2. 7

    進次郎農相「コメ卸業者が営業利益500%増」発言で飛び交う「価格カルテル」疑惑と「コメの先物取引」で懸念されていたこと

  3. 8

    6月15日に開催G7サミットはトランプ関税で「会議は踊る、されど進まず」状態に

  4. 9

    マツキヨココカラ×コスモス薬品 節約生活の味方ドラッグストア大手を比較

  5. 10

    「プーチン心停止で影武者代行」情報…訪中大失敗のストレス、ロ国内に広がる大統領5選は無理の空気

もっと見る

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ドジャース佐々木朗希に向けられる“疑いの目”…逃げ癖ついたロッテ時代はチーム内で信頼されず

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    備蓄米報道でも連日登場…スーパー「アキダイ」はなぜテレビ局から重宝される?

  4. 4

    上白石萌音・萌歌姉妹が鹿児島から上京して高校受験した実践学園の偏差値 大学はそれぞれ別へ

  5. 5

    “名門小学校”から渋幕に進んだ秀才・田中圭が東大受験をしなかったワケ 教育熱心な母の影響

  1. 6

    大阪万博“唯一の目玉”水上ショーもはや再開不能…レジオネラ菌が指針値の20倍から約50倍に!

  2. 7

    今秋ドラフト候補が女子中学生への性犯罪容疑で逮捕…プロ、アマ球界への小さくない波紋

  3. 8

    星野源「ガッキーとの夜の幸せタイム」告白で注目される“デマ騒動”&体調不良説との「因果関係」

  4. 9

    女子学院から東大文Ⅲに進んだ膳場貴子が“進振り”で医学部を目指したナゾ

  5. 10

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも