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森岡英樹経済ジャーナリスト

1957年生まれ。早稲田大学卒業後、 経済記者となる。1997年、米コンサルタント会社「グリニッチ・ アソシエイト」のシニア・リサーチ・アソシエイト。並びに「パラゲイト ・コンサルタンツ」シニア・アドバイザーを兼任。2004年にジャーナリストとして独立。

高市首相は“責任ある積極財政”を掲げるが…日銀に代わる国債の受け皿はあるのか

公開日: 更新日:

 日銀が購入額を半減させる中、それに代わる受け皿がなければ、国債増発は難しく、「責任ある積極財政」も絵に描いた餅となりかねない。

 まず期待されるのは銀行や生保などの機関投資家だが、「銀行は金利リスク規制の影響で国債の増額引き受けに限界があり、生保も人口減少に伴う保険料収入の減少で余力が乏しい」(同)とみられる。

 財務省は海外投資家の裾野拡大にも注力しているが、海外勢は財政不安が生じれば一気に資金を引き揚げるリスクがあり、安定的な保有者とは言い難い。

 そこで政府が目を向けるのが、2200兆円を超す個人の金融資産だ。「個人に魅力的な商品を提供することで、国債に資金を振り向けたい」(財務省関係者)という。その有望商品とされるのが「物価連動国債」である。

「物価連動国債」は、消費者物価指数(生鮮食料品を除く)に応じて元本や利払いが変動する利付国債で、インフレ基調のなかでは魅力的な商品となる。

 また、国債で運用する投資信託への期待も高まっている。「短期国債など低リスク資産で運用する投資信託・MMF(マネー・マーケット・ファンド)の復活もそのひとつ」(メガバンク幹部)とされる。

 超低金利下で姿を消していたMMFだが、「金利のある世界」への移行で9年ぶりに復活する見通しだ。MMFは株式投資に回る待機資金の受け皿ともなり、巨額な国債購入が期待される。

 個人金融資産が、果たして国債の“アンカー役”となるか──。

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