外国人の不動産取得規制「見送り」でも残る課題 不透明な取引の追跡を困難にする法務省の愚策
日本には法人の実質的所有者を網羅的に把握する仕組みがなく、国際社会から指摘されてきたマネロン対策の遅れが浮き彫りになった。
実は、こうした不透明な不動産取引を追跡することは、今後さらに難しくなる。
今年10月、法務省は不動産登記受付帳から「登記の目的」と「物件所在地」を削除する省令改正を施行する予定だ。民間による不動産取引の実態把握は大きく制約されるからだ。
調査会社の代表は語る。
「受付帳は、どの物件でいつどのような登記が行われたかを示す記録。民間の調査会社や不動産業者はこれを手がかりに登記簿を取得し、市場動向を分析してきた。しかし改正後は受付年月日と受付番号しか記載されないため、特定地域の不動産取引を網羅的に追跡することが難しくなる」
法務省は、「受付帳は本来、一般公開を前提とした文書ではない」と説明し、「営業目的での利用が広がったこと」を制度見直しの背景に挙げている。
しかし、外国人による不動産取得やマネロンの実態把握を進めるのであれば、市場を監視する民間の「目」を狭める今回の措置は、政府方針と矛盾しているようにも映る。
法人オーナーの実態把握には手を付けず、登記記録の追跡だけを難しくする。本当に国土を守る気があるのか。
(ニュースライター・小野悠史)



















