著者のコラム一覧
鈴村裕輔野球文化学会会長・名城大教授

1976年、東京都出身。法政大学博士(学術)。名城大学外国学部教授。主な専門は政治史、比較思想。野球史研究家として日米の野球の研究にも従事しており、主著に「MLBが付けた日本人選手の値段」(講談社)がある。スポーツを取り巻く様々な出来事を社会、文化、政治などの多角的な視点から分析している。アメリカ野球学会会員。

岸信介は米国で始球式 未完に終わった安倍首相の祖父超え

公開日: 更新日:

 爽やかな弁舌と崇高な理念を示すことで支持を集めたオバマ時代は、日米首脳の関係は必ずしも良好ではなかった。しかし、ドナルド・トランプが大統領に当選すると、主要国の首脳として最初に表敬訪問したこともあり、トランプと安倍は「シンゾー」「ドナルド」と呼び合うほど緊密な関係となる。ゴルフを楽しむ様子を誇示して日米関係の良好さを強調する様子の奥には、ドワイト・アイゼンハワーとの「ゴルフ外交」を進めた岸の姿が見え隠れする。

 岸が1957年に訪米した際にアイゼンハワーとのゴルフだけでなく、ヤンキースタジアムでのヤンキース対ホワイトソックス戦で日本の現職の首相として初めて始球式を行ったのは、日米球界で画期的だった。

 それだけに、訪米時に始球式を行うことは祖父の軌跡を忠実にたどるための重要な要素となる。また、トランプと並んで大リーグの試合を観戦すれば、日米関係の強さを内外に印象付けるだけでなく、一人でヤンキースタジアムに臨んだ祖父を超えることになる。

 しかし、トランプは観客から罵倒されることを避けるため、大統領に就任した後は始球式だけでなく球場に姿を見せることもないし、安倍も訪米の際に野球観戦を行う機会を得られないままだった。何より新型コロナウイルス感染症の拡大で、2020年は訪米そのものが難しくなった。

 こうして、憲政史上最長の在任記録を達成した首相の「祖父超え」は未完に終わったのである。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「豊臣兄弟!」白石聖が大好評! 2026年の毎週日曜日は永野芽郁にとって“憂鬱の日”に

  2. 2

    川口春奈「食べ方が汚い」問題再燃のお気の毒…直近の動画では少しはマシに?

  3. 3

    あの人「なんか怖い」を回避する柔らかな言葉遣い

  4. 4

    自分探しで“変身”遂げたマリエに報道陣「誰だかわからない」

  5. 5

    (1)高齢者の転倒は要介護のきっかけになりやすい

  1. 6

    2度目の離婚に踏み切った吉川ひなの壮絶半生…最初の夫IZAMとは"ままごと婚"と揶揄され「宗教2世」も告白

  2. 7

    「誰が殺されてもおかしくない」ICE射殺事件への抗議デモ全米で勃発

  3. 8

    解散総選挙“前哨戦”で自民に暗雲…前橋出直し市長選で支援候補が前職小川晶氏に「ゼロ打ち」大敗の衝撃

  4. 9

    業績悪化で減収減益のニトリ 事業の新たな柱いまだ見いだせず

  5. 10

    チンピラ維新の「国保逃れ」炎上やまず“ウヤムヤ作戦”も頓挫不可避 野党が追及へ手ぐすねで包囲網