著者のコラム一覧
藤田信之日本実業団陸上競技連合顧問

1940年10月、京都府出身。洛北高卒業、京都市職員を経て68年ユニチカ陸上部コーチ、72年監督就任。86年ワコール初代監督、99年グローバリー初代監督、2005年シスメックス初代監督、11年同陸上部顧問退任。現在、日本実業団陸上競技連合顧問。

90年代の女子長距離を席巻した中国「馬軍団」の練習に密着すると…“おかしな動き”が

公開日: 更新日:

 例えば、ダッシュとジョギングを繰り返すインターバルを10本やるとする。その途中でトイレに行けば練習にならない。それでも指導者は何も言わない。例のドリンクは利尿剤だったのかもしれない。

「サブトラックに設置されている仮設トイレを全部使用禁止にし、中国選手の尿をビニール袋に採取したら真相が明らかになるのに」

 そんなことさえ考えたものだ。

 中国選手には禁止薬物の使用疑惑があった。翌94年の広島アジア大会で競泳チームの組織的ドーピングが発覚するが、まだ「馬軍団」は「グレー」の域を出ていない。

 一方で、馬軍団の日頃のトレーニングには興味があった。当時私が在籍していたワコールは中国に関連会社があった。仕事を名目に9月の中国全国運動会などを視察する予定だったが、同時期に選手採用の件で地方出張があり、中国行きは流れてしまった。

 その出張で九州に行ったときのこと。福岡から熊本に移動する電車の中で前に座っている人が新聞を読んでいた。その見出しを見て仰天した。

「王軍霞1万メートルで世界記録」

 8月の世界陸上1万メートルを30分49秒30の大会記録で制した王が、中国全国運動会で女子では世界初の30分切りを達成。見出しにある「29分31秒78」の数字に「そんな、アホな?」とわが目を疑った。(つづく)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 2

    農水省ゴリ押し「おこめ券」は完全失速…鈴木農相も「食料品全般に使える」とコメ高騰対策から逸脱の本末転倒

  3. 3

    TBS「ザ・ロイヤルファミリー」はロケ地巡礼も大盛り上がり

  4. 4

    維新の政権しがみつき戦略は破綻確実…定数削減を「改革のセンターピン」とイキった吉村代表ダサすぎる発言後退

  5. 5

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  1. 6

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  2. 7

    粗品「THE W」での“爆弾発言”が物議…「1秒も面白くなかった」「レベルの低い大会だった」「間違ったお笑い」

  3. 8

    阿部巨人に大激震! 24歳の次世代正捕手候補がトレード直訴の波紋「若い時間がムダになっちゃう」と吐露

  4. 9

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  5. 10

    巨人阿部監督の“育成放棄宣言”に選手とファン絶望…ベテラン偏重、補強優先はもうウンザリ