長嶋茂雄と連れ立って石原裕次郎さんのお家で朝まで豪遊した顛末 試合は雨天中止と思ったのに…
「おお、任しとけ!」
胸をたたいて延々飲み続け、ビールを2ダースにジョニ赤のボトルを2本空けた。意識を失い、目が覚めたらそこは石原邸のトイレの中だった。
大変だったのは、その翌日だ。てっきり中止と思っていたら、カラリと晴れ上がっている。先発の予定だった私は、はれぼったい顔のまま慌てて後楽園へ飛んで行った。
すぐに、監督の水原茂さんに見とがめられた。
「昨夜どこへ行った!」
まさに鬼のような形相である。水原さんはこのころ、長嶋や私が芸能人たちとの付き合いにかまけていることを苦々しく思っていた。観念して、正直に前夜のことを打ち明けた。水原さんの目がさらにつり上がった。
「バカ者! 役者なんぞと付き合うな! 芸能人とは交際禁止だ!」
この年を限りに、水原さんは巨人監督の座から退く。毎年、読売新聞社の社長室に持参していた辞表が、ついに正力松太郎翁に受け取られる時がきた。そして、あの川上哲治さんが監督となる。