著者のコラム一覧
武田薫スポーツライター

1950年、宮城県仙台市出身。74年に報知新聞社に入社し、野球、陸上、テニスを担当、85年からフリー。著書に「オリンピック全大会」「サーブ&ボレーはなぜ消えたのか」「マラソンと日本人」など。

選手盗撮が問題になる国に五輪を2度もやる資格があるのか

公開日: 更新日:

 テニスはもともと盗撮の温床で、最悪の例が連続幼女殺害事件の宮崎勤だった。有明テニスの森に通ってアンダースコートばかり撮っていたというから、決して野放しにできないのだが、問題はそこだけではない。

 最初に規制をかけたのは新体操で、フロアレベルでの撮影を禁じた。ただ、新体操の魅力はボール、リボンなどの手具と肉体の一体感で、この競技を最も美しく表現できるのが、緊張の一瞬を切り取る写真でもある。陸上競技でも、日本のアスリートは驚くほどきれいになり、彼女たちはいまこそ写真を撮ってもらいたいだろう。スポーツという肉体表現において、強くなることと美しくなることは同時進行で、写真は撮るべきなのだ。

 どうして日本でだけこの問題がクローズアップされるのか。カメラメーカーの国ということも一因かも知れない。昔の日本人観光客の目印は首からぶら下げたコンパクトカメラだった。いま、高性能のカメラをこれほど多くの人が持っている国は他にない。メーカー、スポーツカメラマンは、競技団体に規制を委ねるだけでなく、積極的に反盗撮キャンペーンを展開すべきだ。

 かつて日本の街には酔っぱらいが多く、酒に弱い人種といわれたが、もはやそんな酔態を見ることは稀になった。いやらしい心は消えなくとも、行動を変えることはできるはずだ。黒田清輝の裸婦画を隠した腰巻き事件は120年も前のこと。女性活躍なんていうレベルの話じゃない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    新生阿部巨人は早くも道険し…「疑問残る」コーチ人事にOBが痛烈批判

  2. 2

    阿部巨人V逸の責任を取るのは二岡ヘッドだけか…杉内投手チーフコーチの手腕にも疑問の声

  3. 3

    阪神「次の二軍監督」候補に挙がる2人の大物OB…人選の大前提は“藤川野球”にマッチすること

  4. 4

    阪神・大山を“逆シリーズ男”にしたソフトバンクの秘策…開幕前から丸裸、ようやく初安打・初打点

  5. 5

    巨人桑田二軍監督の“排除”に「原前監督が動いた説」浮上…事実上のクビは必然だった

  1. 6

    創価学会OB長井秀和氏が明かす芸能人チーム「芸術部」の正体…政界、芸能界で蠢く売れっ子たち

  2. 7

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  3. 8

    大谷翔平の来春WBC「二刀流封印」に現実味…ドジャース首脳陣が危機感募らすワールドシリーズの深刻疲労

  4. 9

    大死闘のワールドシリーズにかすむ日本シリーズ「見る気しない」の声続出…日米頂上決戦めぐる彼我の差

  5. 10

    ソフトB柳田悠岐が明かす阪神・佐藤輝明の“最大の武器”…「自分より全然上ですよ」