「潮鳴り」が話題 葉室麟氏に聞く

公開日: 更新日:

<挫折や失意の底に沈んでからこそが人生>

 第146回直木賞受賞作家の葉室麟氏による時代小説「潮鳴り」(祥伝社 1600円)が、今月末刊行される。前作「蜩ノ記」と同じ豊後・羽根藩を舞台とするシリーズ第2弾の本書について、葉室氏に語ってもらった。

 物語の主人公・伊吹櫂蔵(いぶきかいぞう)は、かつては藩校で俊英といわれたほどの剣術と居合術の腕前の持ち主。3年前まで勘定方として出仕していたものの、率直な物言いがあだとなってお役御免となり、家督を弟に譲っていまや浮浪者同然の身の上となっていた。

 そんなある日、弟が自死したことから弟の志を知ることになり、周囲にバカにされながらも弟の代わりに家督を継ぎ、出仕することを決意する。

「ある程度の年齢まで生きてくると、失意を経験することや、大きな挫折をした友人を目にすることが増えます。しかし人間の真価というものは、順調に生きているときでなく、むしろ瀬戸際に追い詰められたときにこそ現れるのではないか、と思うのです。だからこそ、そんな人間が生きていく物語を書こうと思いました」と葉室氏は語る。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  4. 4

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず

  5. 5

    本命は今田美桜、小芝風花、芳根京子でも「ウラ本命」「大穴」は…“清純派女優”戦線の意外な未来予想図

  1. 6

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  2. 7

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  3. 8

    石破首相続投の“切り札”か…自民森山幹事長の後任に「小泉進次郎」説が急浮上

  4. 9

    今田美桜「あんぱん」44歳遅咲き俳優の“執事系秘書”にキュン続出! “にゃーにゃーイケオジ”退場にはロスの声も…

  5. 10

    参政党のSNS炎上で注目「ジャンボタニシ」の被害拡大中…温暖化で生息域拡大、防除ノウハウない生産者に大打撃