「できる男は不倫する 本革の手帳」松岡宏行・著 高橋潤・絵

公開日: 更新日:

 例えば、部下の浅井が3カ月がかりで口説き落とした彼女が奥手だと思っていたのにエロいパンツをはき、スゴかったと聞いたブチョー。さっそくナミにエロい下着をプレゼントして一戦を挑むが、なぜか盛り上がらない。

 そんなブチョーの姿に「エロい下着に感動するのは、そこに意外な驚きがあるからで、男が買い与えた下着では感動のレベルが下がる」と指摘。

 同じように、チェーン店などにみられるカスタマイズ商法も、顧客志向という名の責任逃れに陥りがちで、乱用は商品の品質を下げるとバッサリ。

 他にも「出世すればするほど、叱ってくれる人がいなくなる」と嘆き、ガツンと自己否定される体験がしたいという常務の勝田がブチョーにSMクラブに連れて行かれてしまう姿を描きながら、「人は、自己を否定される経験によってのみ、大きく成長することができる」などと説く。もちろんエロだけではない。勝田は創業者なのになぜか常務。社長の栗原の姿は社員のだれも見たことがない。その理由を描きながら説かれるリーダー論など34章を収録。

 洗練されたコミックゆえか、美女とブチョーのセックスシーンもなぜか許せる。ユーモアとエロに包みながらも、鋭い洞察から繰り出される助言は、きれいごとを並べた類書とは一線を画し、胸に響く。 雑誌「ゲーテ」人気連載コミックの書籍化。(幻冬舎 1300円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「おまえになんか、値がつかないよ」編成本部長の捨て台詞でFA宣言を決意した

  2. 2

    【原田真二と秋元康】が10歳上の沢田研二に提供した『ノンポリシー』のこと

  3. 3

    カーリング女子フォルティウスのミラノ五輪表彰台は23歳リザーブ小林未奈の「夜活」次第

  4. 4

    3度目の日本記録更新 マラソン大迫傑は目的と手段が明確で“分かりやすい”から面白い

  5. 5

    国分太一“追放”騒動…日テレが一転して平謝りのウラを読む

  1. 6

    福山雅治&稲葉浩志の“新ラブソング”がクリスマス定番曲に殴り込み! 名曲「クリスマス・イブ」などに迫るか

  2. 7

    「えげつないことも平気で…」“悪の帝国”ドジャースの驚愕すべき強さの秘密

  3. 8

    松岡昌宏も日テレに"反撃"…すでに元TOKIO不在の『ザ!鉄腕!DASH!!』がそれでも番組を打ち切れなかった事情

  4. 9

    年末年始はウッチャンナンチャンのかつての人気番組が放送…“復活特番”はどんなタイミングで決まるの?

  5. 10

    査定担当から浴びせられた辛辣な低評価の数々…球団はオレを必要としているのかと疑念を抱くようになった