「宮沢賢治の真実」今野勉著

公開日: 更新日:

 中学3年のときに宮沢賢治の作品に引かれた著者は、テレビ局に入社したころ、再び賢治の作品と出合う。彼の詩の中に「猥れて嘲笑める」「凶つのまみ」「秘呪とりて」などの言葉をちりばめた不可解で異様な詩があった。その下書き稿にある「かなしく君が名をよべば」の「君」とは誰なのか、調べていくうちに、著者は「永訣の朝」にうたわれた妹、とし子を死に追いやった事件の真相、賢治の看護師への初恋、同性の友人への恋心などにたどり着く。「冬のスケッチ」にある「あるべきことにあらざれば」は、この恋のことなのか。

 テレビの草創期からさまざまなドラマドキュメンタリーを制作した著者が、修羅を生きた宮沢賢治の真実に迫る。(新潮社 2000円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    元横綱・三重ノ海剛司さんは邸宅で毎日のんびりの日々 今の時代の「弟子を育てる」難しさも語る

  2. 2

    巨人・岡本和真を直撃「メジャー挑戦組が“辞退”する中、侍J強化試合になぜ出場?」

  3. 3

    3年連続MVP大谷翔平は来季も打者に軸足…ドジャースが“投手大谷”を制限せざるを得ない複雑事情

  4. 4

    高市政権大ピンチ! 林芳正総務相の「政治とカネ」疑惑が拡大…ナゾの「ポスター維持管理費」が新たな火種に

  5. 5

    自民党・麻生副総裁が高市経済政策に「異論」で波紋…“財政省の守護神”が政権の時限爆弾になる恐れ

  1. 6

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 7

    沢口靖子vs天海祐希「アラ還女優」対決…米倉涼子“失脚”でテレ朝が選ぶのは? 

  3. 8

    矢沢永吉&甲斐よしひろ“70代レジェンド”に東京の夜が熱狂!鈴木京香もうっとりの裏で「残る不安」

  4. 9

    【独自】自維連立のキーマン 遠藤敬首相補佐官に企業からの違法な寄付疑惑浮上

  5. 10

    高市政権マッ青! 連立の“急所”維新「藤田ショック」は幕引き不能…橋下徹氏の“連続口撃”が追い打ち