鳥のさえずりで森林浴気分

公開日: 更新日:

「鳴き声が聴ける 世界の美しい鳥図鑑」上田恵介監修

 動物園でもなかなかお目にかかれない世界中の美しい鳥を集めた図鑑。ユニークなのは、鮮やかな色彩で身を飾るお洒落な鳥を、学問的な分類や地域ごとではなく、色別に紹介しているところ。

 まずメーテルリンクの戯曲によって今や「幸せの象徴」となった「青い鳥」から。ご存じ「空飛ぶ宝石」などと呼ばれるカワセミやオオルリなど、日本でも見られる青い鳥から、その名の通り水色の眉毛のような模様がある中米の「アオマユハチクイモドキ」や、東南アジアに広く分布する「チャノドコバシタイヨウチョウ」、そして長髪のイケメンを連想させる「ミノバト」まで。

 さまざまな風合いの青い鳥が集まり、幸せ感もアップ。

 それぞれの鳥についての解説はなく、記されているのは名前だけだが、添付されたQRコードをスマホなどで読み取れば、その鳥の鳴き声が流れてくるという、何とも鳥好きにはうれしい構成。

 鳥の羽根がカラフルなのは、人間の肌色を作るのと同じメラニン色素に加え、赤やオレンジ、黄色のもとになるカロテノイド色素や、緑になるツラコバジンや赤をつくるツラシンという特殊な色素をそれぞれが持っているからだそうだ。

 しかし、青色は色素が作り出しているのではなく、複雑な構造の羽毛が光を反射したり吸収したりして生まれる「構造色」と呼ばれるものだという。

 派手なオスに比べてメスは褐色の地味な色彩をしている場合が多いが、そうした種は地上に巣を作るために天敵の目を逃れようと自然淘汰されたもので、崖に穴を掘ったり樹洞に巣を作る鳥は、雌雄で美しさに差がない種がほとんだという。

 そんな鳥たちの写真を眺めながら、そのさえずりに耳をすませば、どこかの森の中にいるような気分になってくる。(宝島社 800円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神・梅野がFA流出危機!チーム内外で波紋呼ぶ起用法…優勝M点灯も“蟻の一穴”になりかねないモチベーション低下

  2. 2

    梅野隆太郎は崖っぷち…阪神顧問・岡田彰布氏が指摘した「坂本誠志郎で捕手一本化」の裏側

  3. 3

    「高市早苗首相」誕生睨み復権狙い…旧安倍派幹部“オレがオレが”の露出増で主導権争いの醜悪

  4. 4

    巨人・戸郷翔征は「新妻」が不振の原因だった? FA加入の甲斐拓也と“別れて”から2連勝

  5. 5

    国民民主党「選挙違反疑惑」女性議員“首切り”カウントダウン…玉木代表ようやく「厳正処分」言及

  1. 6

    時効だから言うが…巨人は俺への「必ず1、2位で指名する」の“確約”を反故にした

  2. 7

    パナソニックHDが1万人削減へ…営業利益18%増4265億円の黒字でもリストラ急ぐ理由

  3. 8

    ドジャース大谷翔平が3年連続本塁打王と引き換えに更新しそうな「自己ワースト記録」

  4. 9

    デマと誹謗中傷で混乱続く兵庫県政…記者が斎藤元彦県知事に「職員、県議が萎縮」と異例の訴え

  5. 10

    阪神に「ポスティングで戦力外」の好循環…藤浪晋太郎&青柳晃洋が他球団流出も波風立たず