津軽蕎麦が看板メニューの「大森食堂」が舞台

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「津軽百年食堂」森沢明夫著 小学館文庫/638円+税

 いつの間にか定着した言葉に「百年食堂」がある。「3代4代と受け継がれ、75年以上続いてきた食堂。/決して特別ではないが、その町の人々に慣れ親しまれてきたメニューがある。/町に、人々の生活に溶け込み、愛され続けている食堂」というのがその定義。ネットでもこの名を冠した全国の食堂が紹介されているが、世の中の変化が激しい昨今、個人経営で長く同じ店を続けていくのは至難の業、当然そこにさまざまなドラマが生まれる。

 本書は、青森県弘前の津軽蕎麦が看板メニューの「大森食堂」の4代にわたる物語。

【あらすじ】大森食堂の歴史は、明治の末に大森賢治が弘前城下の交差点に開いた露店の蕎麦屋に始まり、現在は3代目の哲夫と妻の明子が切り盛りしている。

 息子の陽一は、家業を継ぐべく東京の中華料理屋で修業していたが、店の先輩とけんかしてクビになってしまう。そのことを父に言い出せないまま、ピエロのアルバイトをしながら孤独な生活を送っていた。

 そんな陽一の前に現れたのが、同郷の写真家志望の筒井七海。プロの写真家になりたいというひたむきな七海の姿を見ているうちに、陽一も高校の卒業文集に「夢は、日本一の食堂」と書いた頃の熱い思いがよみがえってきた。そこへ、父が交通事故に遭ったという知らせが届く。

 このままでは大森食堂の最大のイベントである「さくらまつり」の出店ができなくなってしまう……。

【読みどころ】本書のもう一つの主役が「幻の蕎麦」ともいわれる津軽蕎麦。つなぎに大豆をすりつぶした呉汁を使うのが特徴で、イワシの焼き干しのダシもいかにもうまそうだ。陽一=オリエンタルラジオの藤森慎吾、七海=福田沙紀の配役で映画化もされている。   <石>

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