「ミッテランの帽子」アントワーヌ・ローラン著 吉田洋之訳

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 1986年、パリ。うだつの上がらない会計士・ダニエルは、ブラッスリーで食事をしていると、時の大統領ミッテランがやってきて隣の席に座る偶然に遭遇した。2時間後、ミッテラン大統領が去った席にはフェルト帽子が。ダニエルは帽子を手に取るとそっとかぶり、店を出る。

 翌日、ダニエルは会議で大胆な分析を発表。それが役員に評価され、地方財務部長に抜擢される。帽子をかぶると、不思議な力を感じ、実力が出せるようになったのだ。ところがダニエルはルーアンに向かう汽車の中に帽子を置き忘れてしまう……。

 望まない不倫を断ち切れない女性、スランプ中の天才調香師らに帽子が次々に渡り、手にした者は人生の意外な展開を経験する。大人のための幸福な物語。

(新潮社 1900円+税)

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