「バー・スクウェアの邂逅」福田和代著

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 日本では、ウイスキーといえばスコッチ・ウイスキーが主流で、アイリッシュ・ウイスキーはややマイナーな存在だ。ハードボイルド好きなら、「鷲は舞い降りた」をはじめとするジャック・ヒギンズの作品によく登場するブッシュミルズの名前は聞いたことがあるだろう。

 本書に登場する刑事・三田靖彦が愛飲するのは、同じアイリッシュ・ウイスキーでもタラモア・デュー。けっこう癖のある酒で、三田いわく、「ひと口めには、その癖の強さが鼻につく。頑なで取り付く島がない、ごつごつした味わいだ。ふた口飲むとこれは俺の酒だと思った。俺が酒になっている」。

【あらすじ】大阪府警薬物対策課の刑事、三田は休みの前には好きな酒を痛飲するのが習慣で、決まった店では飲まないことを信条としていた。

 そんな休み前の晩、梅田の繁華街、お初天神通りの袋小路で男たちに絡まれていた歌手のアリサを助ける。それをきっかけに、アリサが常連のバー「スクウェア」に通うようになる。

 カウンターに8人掛ければ満員になる小さな店で、謎めいた雰囲気を漂わせるバーテンダーの「名無しのリュウ」と常連で元ボクサーの実業家・宇多島とも知り合う。アリサともよく一緒になるが、何も食べずにバーボンを主食のように飲む彼女に三田は危うさを感じていた。

 いつしか肌を合わせるようになった三田とアリサだが、突然、彼女が姿を消す。そこへアリサがコンサート前に必ず覚醒剤を使用するというタレコミが入る……。

【読みどころ】このアリサの事件を機に三田とリュウ、宇多島の3人は奇妙な関係をつくっていく。本書ではリュウの正体は不明のままだが、続編の「バー・スクウェアの矜持」で彼の過去が明かされる。 <石>

(東京創元社 740円+税)

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