「バー堂島」吉村喜彦著

公開日: 更新日:

 大阪・北新地のはずれにあるバー堂島は、カウンター5席の小さな店。マスターの楠木が以前働いていた東京のバーにならい、窓から堂島川の流れが見える。開店早々、友人の南方が現れた。僧侶の南方は、日雇い労働者たちの世話で忙しく、年に2回しか店に姿を見せない。南方の父親は、和歌山の裕福な農家の生まれだったが、友人の借金を肩代わりして資産を失い、釜ケ崎に流れ着いた。母親が若い男と出奔後、父は酒におぼれて死んだ。そのとき、親身になって励ましてくれた僧侶が忘れられなくて、今の南方がある。南方がそんな思い出に浸っていると、ホステスのひかりが大男の同伴客を連れて来店する。(「春~うらら酒」)

 小粋なカクテルとつまみを小道具に描くハートウオーミング連作集。

(角川春樹事務所 580円+税)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    「ばけばけ」好演で株を上げた北川景子と“結婚”で失速気味の「ブギウギ」趣里の明暗クッキリ

  2. 2

    西武・今井達也「今オフは何が何でもメジャーへ」…シーズン中からダダ洩れていた本音

  3. 3

    N党・立花孝志容疑者にくすぶる深刻メンタル問題…日頃から不調公言、送検でも異様なハイテンション

  4. 4

    我が専大松戸は来春センバツへ…「入念な準備」が結果的に“横浜撃破”に繋がった

  5. 5

    N党・立花孝志氏に迫る「自己破産」…元兵庫県議への名誉毀損容疑で逮捕送検、巨額の借金で深刻金欠

  1. 6

    高市首相「議員定数削減は困難」の茶番…自維連立の薄汚い思惑が早くも露呈

  2. 7

    高市内閣は早期解散を封印? 高支持率でも“自民離れ”が止まらない!葛飾区議選で7人落選の大打撃

  3. 8

    高市政権の物価高対策はパクリばかりで“オリジナル”ゼロ…今さら「デフレ脱却宣言目指す」のア然

  4. 9

    高市首相は自民党にはハキハキ、共産、れいわには棒読み…相手で態度を変える人間ほど信用できないものはない

  5. 10

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗