「索引~の歴史」デニス・ダンカン著 小野木明恵訳

公開日: 更新日:

「索引~の歴史」デニス・ダンカン著 小野木明恵訳

 立派な構えの人文書の巻末に索引が付されておらず、がっかりしたという人は少なくないだろう。索引は注と並んでメインディッシュの本文に劣らず大事なアペリティフ、あるいはデザートだ。そこに引かれている文献や人名、項目によってその本のテイストがわかるからだ。本書は13世紀に始まり、現代のインターネットの検索に至る索引がたどってきた興味深い歴史を描いている。

 索引とは「1冊の本を構成要素、登場人物、主題、さらには個々の単語へと細分化したものをアルファベット順に並べた一覧表」。そこで必要となるのがアルファベット順の配列と、巻子本と違ってページが確定できる冊子本の発案だ。この2つの登場によって索引が誕生する。索引には文中の単語を見出し語にした用語索引と文中の主題(人名、地名などの固有名詞や概念)を見出し語にした主題索引の2つがあるが、アルファベット配列と冊子本の2つが揃った13世紀ヨーロッパの大学と修道院においてほぼ同時に誕生した。

 しかし、当時はまだ手書きの写本だったため、書き手によってページが不確定になってしまう。そこで編み出されたのがページ番号だ。さらに活版印刷によって同形の本が大量生産され、普遍的な索引が出来上がる。

 2つの索引のうち主題索引は取り上げる項目や引用句をかなり恣意的に取捨選択することができる。そこで政敵を誹謗するために索引を政争の具にする者も現れてくる。時代が下ると、索引付き小説が登場するなど、索引はますます広範に使用され、専門の索引家も活躍することになる。

 しかし、現在はコンピューターによって索引作成が容易になったので、もう専門家は要らないのではという疑問も浮かぶ。果たしてそうか。本書巻末には「索引家版」「コンピュータ自動生成版」「日本語版」の3つの索引が付されている。それを見れば答えは明らかだ。 <狸>

(光文社 3520円)

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    NHK朝ドラ「ばけばけ」が途中から人気上昇のナゾ 暗く重く地味なストーリーなのに…

  2. 2

    ドジャース大谷翔平32歳「今がピーク説」の不穏…来季以降は一気に下降線をたどる可能性も

  3. 3

    「おまえもついて来い」星野監督は左手首骨折の俺を日本シリーズに同行させてくれた

  4. 4

    ドジャース佐々木朗希の心の瑕疵…大谷翔平が警鐘「安全に、安全にいってたら伸びるものも伸びない」

  5. 5

    巨人大ピンチ! 有原航平争奪戦は苦戦必至で投手補強「全敗」危機

  1. 6

    巨人が李承燁コーチ就任を発表も…OBが「チグハグ」とクビを傾げるFA松本剛獲得の矛盾

  2. 7

    衝撃の新事実!「公文書に佐川氏のメールはない」と財務省が赤木雅子さんに説明

  3. 8

    ドジャース首脳陣がシビアに評価する「大谷翔平の限界」…WBCから投打フル回転だと“ガス欠”確実

  4. 9

    高市首相が漫画セリフ引用し《いいから黙って全部俺に投資しろ!》 金融会合での“進撃のサナエ”に海外ドン引き

  5. 10

    日本ハムはシブチン球団から完全脱却!エスコン移転でカネも勝利もフトコロに…契約更改は大盤振る舞い連発