「斜め論 空間の病理学」松本卓也著

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 次に、統合失調症の患者が寛解過程の中で水平方向の他者との関係をつくり直していくことに注目した中井久夫の特異性を論じていく。続いて、全共闘運動内部における強固な性別役割分業という矛盾や「死ぬための思想」が至上の価値という考えに対して、フェミニズムと「生き延びる思想」を打ち出した上野千鶴子、その上野によって、自らが関わる依存症の臨床とフェミニズムとを結びつけた臨床心理士の信田さよ子の2人の思想の道筋がたどられていく。

 そのほか、「べてるの家」における患者自身が治療に参画する「当事者」活動や、統合失調症治療のパラダイムシフトが期待されているオープンダイアローグなども取り上げられる。これら新たな思想・療法には、ヒエラルキー的な垂直性と「出る杭は叩く」的な水平性とを共に乗り越える「斜め」の横断性という新たな方向が見えてくる。 〈狸〉

(筑摩書房2420円)

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