選挙と民主主義

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「民主主義の死角」鵜飼健史著

「民主主義の死角」鵜飼健史著

 年寄りは若者を政治意識が低いと見なし、若者は今の政治が高齢者によってわがものにされていると密かな敵意を抱いている。いわゆる「シルバーデモクラシー批判」がこれだ。本書は年齢と政治思想の関係に注目。古代ギリシャにまでさかのぼって問題提起し、現代の高齢者VS若者の対立を鋭く論じる。

 実は高齢化と少子化は世界全体の潮流。投票者に占める高齢者の割合は日本は世界最高水準だが、アメリカも政治家はトランプやバイデンら高齢者が目立ち、過去四半世紀で70歳以上の議員も急激に増えたという。裁判官や指導的行政官(州知事や市長など)の高齢化も明らかだ。アジア諸国も日本と大差ない。2020年の総統選で若者が注目された台湾でも国民投票などでは世代間ギャップは大きいようだ。

 他方、欧州では選挙権年齢を16歳にまで引き下げるべきだとする意見も多いという。著者は1章を費やしてこの問題をていねいに論じ、現在の下限年齢である18歳と16歳とで能力に差はないとする立場からさまざまな賛否両論が展開されている論争を紹介する。子どもに選挙権を与えるのは子どもに責任を押しつけ、子どもでいられる年月が阻害されるとする反対論もあれば、選挙権は社会の自己統治の問題に直結することとして子どもの政治参加を肯定的に捉える見方もある。硬派の議論を多く含む高レベルの新書。 (朝日新聞出版 1100円)

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