X線検査に“非効率”の声も 胃内視鏡検査が普及しないワケ

公開日: 更新日:

 ならば、市区町村の胃がん検診は内視鏡検査が主流となり、受診者が急に増えるのでしょうか。恐らくそうはならないでしょう。

 理由は、胃のX線検査の方が病院側には都合がいいからです。例えば検査回数です。新たな指針によると、「X線検査は40歳以上で年1回、一方、内視鏡検査は50歳以上で2年に1回の受診」となっています。内視鏡検査だと、回数は半分に減ってしまいます。

 しかも、X線検査は放射線技師のみでの撮影が可能ですが、内視鏡検査は医師が直接対応しなければなりません。X線検査の方が1人当たりの保険点数が低いとはいえ、短時間で多くの患者さんをこなせるので、病院側は実入りがいいのです。

 さらにいえば、胃のX線検査は、鉛で覆われた専用の部屋やX線装置、透視台などの大掛かりな装置に加え、検査のためのバリウム、検査後の下剤などが必要です。胃のX線検査のために雇われた検査技師も少なくありません。それだけ多くの関係者が、この検査で“食べている”のですから、簡単にやめられないのです。

 結果的に、患者さんは無駄の多い、非効率な検査を受けることになるのです。

【連載】当事者たちが明かす「医療のウラ側」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  2. 2

    大谷翔平は米国人から嫌われている?メディアに続き選手間投票でもMVP落選の謎解き

  3. 3

    高市政権マッ青! 連立の“急所”維新「藤田ショック」は幕引き不能…橋下徹氏の“連続口撃”が追い打ち

  4. 4

    YouTuber「はらぺこツインズ」は"即入院"に"激変"のギャル曽根…大食いタレントの健康被害と需要

  5. 5

    クマと遭遇しない安全な紅葉スポットはどこにある? 人気の観光イベントも続々中止

  1. 6

    和田アキ子が明かした「57年間給料制」の内訳と若手タレントたちが仰天した“特別待遇”列伝

  2. 7

    藤川阪神で加速する恐怖政治…2コーチの退団、異動は“ケンカ別れ”だった

  3. 8

    阪神・才木浩人が今オフメジャー行きに球団「NO」で…佐藤輝明の来オフ米挑戦に大きな暗雲

  4. 9

    「渡鬼」降板、病魔と闘った山岡久乃

  5. 10

    元大食い女王・赤阪尊子さん 還暦を越えて“食欲”に変化が