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永田宏前長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

子宮がん新規患者 上皮内がんを含む数字が発表されている

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「子宮がんが増えている」とマスコミなどで騒がれています。子宮がんは、子宮本体の内側にできる「子宮体がん」と、子宮の入り口付近にできる「子宮頚がん」に分かれます。〈表〉は今世紀に入ってからの子宮がん全体と、そのうちの子宮頚がんについて、新規患者数などの指標をまとめたものです。

 2001年に約2万3000人だった新規患者が、12年には2倍以上の約4万7000人に達しました。しかも、高齢化の影響を除いた年齢調整罹患率を見ても、31.0から68.9と、2.2倍も上昇しているのですから、確かに事態は深刻そうです。

 とはいえ、子宮がんの場合は「上皮内がん」を「含む」か「含まない」かの2通りの数字が用意されているのです。上の数字はすべて、上皮内がんを含んだもの。言うまでもなく、上皮内がんを加えた数字の方がより怖そうなので、マスコミ的に注目を集めやすくなります。がん検診で食っているような医療機関やがん保険を売っている保険会社にとっても、宣伝や商売に都合がいいことは言うまでもありません。

 ところが他臓器と同様、子宮の上皮内がんは「本当にがんなのか」どうかで、世界的に見解が揺れています。これが「本物のがん(浸潤がん)に移行する確率は、きわめて低い」という研究結果が次々に発表されているからです。上皮内がんを除けば、患者数は約1万6000人(01年)から約2万5000人(12年)に増えたことになります。年齢調整罹患率で見ると、約1.5倍の増加です。

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