胆管がん<1>母親の慟哭に、耐えていた感情があふれ出し…

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「ぶっちゃけた話、自分はあとどのくらい生きられるのですか?」

 明確な返答はない。ただ口をもぐもぐとさせているだけだった。

 医師に背を向けて診察室を後にした西口さんは、絶望の淵に立たされた。岸壁から真っ逆さまに落ち込んで行くような心境である。

がんは他人事だと思っていた

 息を深く吸い込み、まず母親に電話を入れた。西口さんは3人きょうだいの末っ子である。がんの告知を知らせると、嗚咽しているのか声が聞こえてこない。

 母親のあまりの慟哭に、診察室で耐えていた感情がいきなりあふれ出し、階段に座り込み涙がこぼれ出た。

 次いで妻に電話を入れた。母親に動揺を与えてしまったことに少し反省し、淡々と経過を説明した。問題は、幼稚園の卒園式に加えて、小学校の入学式が迫っていた一人娘である。

「入院をどのように伝えようか、これは自宅に帰って妻と相談しようと思いました」

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